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最高裁判所第一小法廷 昭和29年(オ)112号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告理由第一点について。

本訴債権が被上告人会社にとり商行為に因つて生じたものであることは明らかである。そして所論商法五一四条にいわゆる「商行為ニ因リテ生シタル債務」とは、単に債務者にとり商行為たる行為によつて生じた債務に限らず、債権者にとり商行為たる行為によつて生じた債権をも含むものと解するを相当とする。論旨は採るをえない。

同第四点について。

本訴請求は、売買契約の合意解除に基く前渡代金の返還を求めるものであるが、売買契約が商行為であるときは、その解除による前渡代金返還債務にも商法五一四条の適用があると解するを相当とする。論旨は採るをえない。

同第二点および第三点はすべて「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号ないし三号のいずれにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 真野毅 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)

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